基本のキ!
成功する家づくりで重要なポイントは、大きく分けて3つ。「予算」「構造・工法」「発注先」の順で検討しましょう。これらをしっかり吟味し、間違いのない選択ができれば、「いい家」は実現するはずです。
最初に「注文住宅」か「建売住宅」かを予算と照らし合わせて検討します。坪単価で考えると見誤りがち。仕様を考慮して比較しましょう。特にハウスメーカーは実際のコストにかなり「利益」を上乗せしているのがほとんど。内装、建具、設備機器、断熱材の厚さなど、どんな仕様で見積もりが成り立っているのかを確認しましょう。
「構造・工法」を何にするのかということは、家づくりの基本中の基本。自分が求める理想の家を手に入れるためには、どの構造・工法が適しているかを見極めましょう。
・構造(骨組み)=木造、軽量鉄骨造、重量鉄骨造、鉄筋コンクリート造…どれにする?
・工法(建て方)=木造軸組(在来)工法、ツーバイフォー(2×4)工法、プレハブ工法(木質系、ユニット系、鉄骨系、コンクリート系)、鉄骨ALC工法…どれにする?
重要なのは材料よりも、むしろ家づくりに携わる人間のクオリティ(技術力)。ハウスメーカーか、ビルダーか、工務店か、設計事務所か。それぞれの特徴をつかんで選ぶこと。ダメ業者、悪徳業者に引っかからないよう慎重に!
一戸建ての住宅工法は主に2つ。まずは「軸組工法」と「壁式工法」の違いを知ろう
現在、一戸建て住宅のほとんどは「軸組工法」と「枠組壁工法」のどちらかで建てられています。まずは、この2つの違いについて知っておきましょう。
「軸組工法」は、日本の伝統工法で「在来工法」とも言われ、木造で建てる「木造軸組工法」と、鉄骨で建てる「鉄骨軸組工法」があり、材質の性質上それぞれの特徴が異なります。
「枠組壁工法」には、木造の「ツーバイフォー(2×4)工法」と、鉄筋とコンクリートでつくる「鉄筋コンクリート壁式工法」があり、やはりそれぞれ特徴が違います。
「軸組工法」は、柱や梁などの軸材を組み合わせて骨組みをつくり、それによって建物を支える仕組みの工法です。これに対して、「枠組壁工法」は、4面の壁パネルと、上下の屋根パネルと床パネルの6つの面からなる構造体です。つまり、軸の組み合わせで耐力をとるか、面(壁)でとるかという、この構造体の違いが、各種の性能面に大きな影響を与えています。
木材などで縦軸と横軸・斜め軸(筋交い)によって骨組みを構成する工法
メリット | ・構造的規制が少なく、設計やデザインの自由度が高い ・他工法に比べ、リフォーム(増改築)が容易 ・開口部が大きく取れるため、柔軟な間取りが可能 ・比較的安価で予算に応じた施工が可能 |
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デメリット | ・他工法に比べて、工期がやや長くかかる ・木材は木種や部位によって強度や特性が違うため、荷重のかかり具合が不安定で、安定した強度を確保するのが困難 ・高気密・高断熱住宅になりにくい ・施工者の技術次第で精度にムラが出やすい |
2×4インチの断面サイズの製材で作られた枠組に合板を貼ったパネルにより、壁、床、天井の6つの面で躯体を構成する工法
メリット | ・構造部材が規格化されているため品質にばらつきが少ない ・施工方法がマニュアル化されているため、施工が比較的簡単。早く安くできる ・断熱性能、機密性能にすぐれている ・軸組工法に比べて耐火性が高い |
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デメリット | ・面で支える構造のため開口部に制限がある ・他工法に比べ、設計の自由度がない ・水分を吸収しやすい合板を多用しているため、湿気や雨の多い日本には本来適さない |
軽量鉄骨の柱と梁、ブレースで構成するプレハブ住宅の代表格
メリット | ・木造軸組工法と同様、設計やデザインの自由度が高い ・ほとんどの工場で生産するため品質が安定していて施工精度が高い ・比較的広い開口部の設置が可能 ・経年変化があまりないため、耐久性に優れている |
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デメリット | ・サビやすいため十分な防サビ措置が必要 ・よく揺れる ・熱伝導率が高いため、結露しやすい ・費用が割高になりがち |
柱・壁・床など構造体に鉄筋コンクリートを使用する工法
メリット | ・強度がもっとも高い ・耐火性に優れている ・高気密・高断熱である ・防音性に優れている ・欠陥の発生率が低い ・意匠性が高い |
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デメリット | ・工期が長く、工事費がもっともかかる ・頑丈な地盤と重要な基礎が必要 ・結露しやすい ・蓄熱性が高いため、夏暑く、冬寒い家になりがち |